温暖化について書きたいと思っていた。
あの暑さの現実を少しでも伝えたいと思っていた。
しかし、気づいたら今だった。
 
 暑さは気力を奪う。
太陽に打ちのめされるだけ打ちのめされる日々。
やっと家にたどり着く。
残された力は、ビールを飲むことくらい。
ズブズブと沈んでいく幸せ。
 暑いと人は考えられない。
日中、体を酷使する。まるで部活だ、若き日の。
思考は遠のいていく。意識も薄くなっていく。
今にどこかの国みたいに、日中はどこぞの日陰
で、所構わずへたり込む、寝そべるしかなくなる
かもしれない。

屋外肉体労働者の危機なのである。
そういえば、
最近、駅や街角で、やたらとしゃがみこんでる人々をよく見かけるようになった。
若い人たちは現実に敏感だから、もはやこの国は熱帯なのだと認識しているのだろう。
やたらと黒い人たちも多いし。
 

 雪が降ると思っていた。
去年降らなかったし、暮れから全然雨が降らないし、気温も例年になく低い。
弓を引き絞るだけ絞ってドカッときた。音もなく。

 暮れに街場に引っ越した。
街はとてもうるさい。
雪が降ってやっと静かになった。
 温暖化を一番思うのは、ホントは冬だ。暑さ寒さじゃない。
日差しの強さだ。
最近の日差しは、冬なのに頬を焦がす。
角度が違うんじゃないか、あるいは近さ。
温暖化という巨大な情報にのまれたことによる先入観、イメージだろうか。
僕は、冬の日差しが一番ヤバイと思っている。
 夏は暑いもんだ。気力がおとろえりゃ、戦えないけど。
でも春の太陽も、ひとたび出てしまうと、夏の太陽になってしまう。
そして冬。

 今年はツバキが咲かない。
蕾のまま霜けてしまうものや、咲いても小さくみすぼらしい。
こいつら日本の冬の遺伝子持ってるはずなのに、最近のツバキは腑抜けになってしまったのか。
雪がかかりながら濃い葉の蒼をたたえ、大輪の紅、目の覚めるような黄色の葯(雄しベ)。
そんなツバキを今年は見ない。
生暖かった去年の冬は、まことにいい調子で咲いていた。

 寒いと身が引き締まり、頭も思慮深くなっていく気がする。
現場で、寒風に吹かれ、鼻をすすりながら思うのは、俺が魚だったら今、最高にうまいのになあ
ということ。

 雪が一面を埋め尽くしている。
仕事にはならんけど、悪くない。

                                                                             2006年1月